和の國ファミリーのみなさま、こんばんは。茨木國夫です。
一昨日、母に「おかげで、熊本城に寄付をさせてもらったよ。」・・・とお伝えしました。
そうしたら、母は「女城主に寄付をしたとね?」と言いました。

僕は、笑いながら「そうそう『おんな城主 直虎』にしてきたよ。」・・・と。
土曜日の再放送、NHKBS、NHKTVと『NHK大河ドラマ』の見すぎでしょうか???
でも、ほっこり笑みこぼれるひとときでした。(^_-)-☆


さて、一年前の震災後に「きものと宝飾社」より、取材を受けていました。
「ステータス」という月刊誌です。
節目の一年が経過したので、ブログにアップさせて頂きました。
丁度、原稿依頼の3000文字ありますが、お時間の取れた時にでもお付き合いください。



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平成28年4月14日に起こった熊本地震。その被害は大きく、熊本県熊本市の「きものサロン和の國」(茨木國夫社長)も大きな被害を被った。そんな厳しい状況の中でも、多くの方の支援、協力を得て、復興を目指す茨木社長にお話を伺った。
助け合う精神、これも正に大切な日本文化ではないだろうか。


熊本地震復興 熊本市中央区 着物専門店 わのくに

平成28年4月14日の「前震」、そして4月16日の「本震」というまったく予想だにしない熊本地震が起きました。それも震度7が2回です。本震で建物もそして私たちの心もズタズタになりました。
前震後、「NPO法人きものを着る機会を作る協議会」の中塚一雄理事長から、電話がありました。僕は、「大丈夫です。ご心配ありがとうございます。」と答えました。そして本震の翌日、再度電話を頂きました。「本当に大変なことになりました。」とうつむきました。

中塚理事長からのお電話は「和の國の復興支援の展示会を開催しよう!」という事でした。我が耳を疑いました。同業者が和の國の商品を販売してくれるなんて、僕の価値観ではありえないことです。「本当ですか、それはありがとうございます。」とお伝えしたものの、きつねにつままれた感じです。そのような中、フェイスブックのメッセージに、「高松市 和工房あき さんが連休明けに販売支援してくれます!」「連休中 新潟の和genさんが販売支援」「新潟県柏崎市 わのわ さん 連休前後予定です」「茨城県土浦市 坂本屋 さん5月販売支援予定です。」「山形市 きんらんどんすさんも協力します!」などのメールがどんどん送られてきました。「これって本当なんだ。」と思った瞬間、どっと涙が溢れてきました。


僕の一番の心配事は会社の存続、つまり資金ショートしないことです。そこでまず、返済を6ヶ月止めてもらい、京都の仕入先には少しお待ちいただくことを嘆願しました。それと同時に心配なのが、お客様の現状です。
私たちは、熊本城の近くの商業ビルで「きものサロン和の國」という店を営業していましたが立入り禁止となりました。かろうじて、熊本市内から25kmある自宅件店舗が無事でした。そこに避難しながら、お客様宅にお水やおにぎりを持ってお伺いする日々が続きました。

それと同時に、お店のすぐ近くにマンション(9階)を借りていましたが、そこを引き払うことにしました。部屋もぐちゃぐちゃになり、愛用の骨董品も大破したからです。4月末からかみさんと展示会に出かけることが決まったので、後片付けも待ったなしです。狂ったように捨てたので、長女の大事なアルバムも。記憶がないことも多々で、震災後2週間で体重が5kg減りました。


5月3日から新潟市を初めとして販売支援展示会が始まりますので、4月30日に在庫を6箱車に積んで、かみさんと出発しました。京都にも用事があったので、5月1日は京都に宿泊。北越自動車道を通り13時間かけて新潟へ到着しました。和genさんを皮切りに、柏崎市のわのわさんで販売支援催事を開催してくださいました。新聞などマスコミの取材もありました。それぞれのお店のお客様は良い方ばかりで、心が温かくなりました。また、目にするものが被災した物とは正反対の、美しい着物です。改めて、着物のことを話している時がいちばん幸せだったことに気づきました。

そのような中、事件勃発です。5月7日からのわのわさんでの催事中、めまいがして倒れたのです。三半規管から来るめまいだそうですが、疲れがピークだったのかもしれません。
3件目の販売支援展示会は、高松市のあき呉服店さんです。新潟県から香川県までは、ほぼかみさんの運転。今度はかみさんが体調を崩し、どちらか一人がお店に入っている状態でした。2週間強の出張を終え5月15日の早朝、熊本に帰ってきました。


熊本に戻ったら着物販売以外の仕事がたくさんです。お客様宅にお邪魔して家具を立て直したり、月末資金の手当てをしたりと東奔西走の日々です。そのような中「福幸てぬぐい」を思いつき下準備に取り掛かりましたが、震災後熊本での売上げは0円です。同業者の有志の方による支援展示会がどれだけありがたかったことかと、何度もかみさんと口にしました。

熊本地震復興 熊本市中央区 着物専門店 わのくに

2回目の出張は、茨城と山形です。今度は飛行機を利用し、僕一人で5月26日に出発しました。それと前後して、岩手県の和の衣さとうさんにもご厚情を賜りました。私たちの商品を送ってそれを買って頂いたのです。経費は送料のみ。このような支援の仕方もあるのだと感銘いたしました。茨城では坂本屋さん、そして山形ではきんらんどんすさんにお世話になり、感動のドラマもたくさんあり、本当に皆さまに良くして頂きました。

今回、言葉にならないほど5件の同業者さんにお世話になりましたが、見ず知らずの私たちに愛の手を差し伸べてくださったのは、お客様と呉服店とのしっかりとした絆があるからだと改めて感じ、私たちの日頃の行動でも反省させられることがたくさんありました。また、皆さま経営者としてのお話をも聞け、とても勉強になりました。

そして、「もしも反対の立場になったら、一番に支援の手を差し伸べたい。」という僕自身の新たなる価値観が芽生えてきました。この震災を乗り越え、お客様に喜んで頂いた分の利益をしっかりとプールしておくべきだと考えています。そして、あってはならないことですが、「いざ鎌倉」に備えておくのが大切だと思います。


このような震災は、正直なところ二度と経験したくありませんが、「この震災があったからこそ強く、そして優しくなれた。」…と、笑顔で言える日がきっと来ると思います。その日の為に今取り組んでいることが二つあります。
一つは、熊本震災からの復興を願い、『福幸てぬぐい』を作製しています。「復興」に「福幸」の文字を当てました。お筆は京都・妙心寺退蔵院の松山大耕副住職です。勇壮な「熊本城」、雄大な「阿蘇五岳」、我らが「くまモン」、豊かな「熊本の水」という熊本のシンボルがぎゅっと詰まっています。

平安時代から親しまれてきた「てぬぐい」は、ふきん・はちまき・汗ふきなどに使え、防寒・頭の保護・包帯・飲み水のフイルターなど「防災グッズ」としても役に立ちます。素材も綿100%なので肌触りばつぐん。乾きが早く、バックの中にもすっと納まるので、「暮らしのお守り」的存在です。ご要望があれば、小売も致しますのでぜひお声賭けください。


二つ目は、申請中の小規模事業資金の震災特別枠助成金がおりてからの実行となりますが、和の國のホームページに加えて、物販サイトを構築しようということです。商品は、「福幸てぬぐい」、「熊本ゆかりの染織品」、「障がいをお持ちの方がデザインした名古屋帯」など、価格競争に走らなくてよいものを考えています。サイトによる売上げは簡単にはできないかとも思いますが、この震災後を乗り切っていく一つのステップに出来ればと願っています。

その二つを進めていきながら、今一度原点に返り、地元・熊本のお客様に愛される店になるように一歩一歩、歩んで行きたいと考えています。
着物屋は、やはりフェイストゥフェイスが基本です。数年間、東京の南青山でも「人間国宝染織家展」などを開催しました。しかし今は、「地域密着型の着物専門店としてお客様に喜んで頂き、10年、20年、そして50年後もご満足頂けるお着物をご提供しよう」という気持ちでいっぱいです。


大正5年創業の和の國は、この地熊本で創業100年を迎えました。100年間、延べ11万人の皆さまにお世話になったからこそ、今があります。震災から立ち上がるのはまだまだ時間が必要かと思いますが、大好きなこの地で、大好きな着物の仕事を生命の限りさせて頂く所存です。
最後までお読みくださり、本当にありがとうございました。  (原文ママ)

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最後までお付き合いいただき、誠にありがとうございます。
やはり、着物でお客様のお役に立てることが、私たちの一番の喜びです。
そんな喜びの花が、ずっ咲き続けますように・・・。
どうか今後とも、よろしくお願い申し上げます。
                          和の國 茨木國夫 拝