平成23年のスタート。お天気がよければ、陰から陽へと変わる朝4時の「若水」を汲みに行く予定だった。しかしながら昨晩から雪が降り続いていることを良い事に、完全無欠の寝正月となった。9時過ぎ目を覚ますと、あたり一面銀世界。応挙の雪松図屏風の世界が目の前に広がっている。この世のものか。今年一年が純白から始まるなんて、なんと清らかで雅やかなことか。それにしても、美しい。気分新たに、「小さな巨匠たち・絵から帯へ」(仮称)の企画書に取り組んだ。 11時からは弟夫婦を含めて年始だ。バチッと着物姿が本来のお正月だが、身内ということもあり、藍染の刺し子の作務衣に袖を通す。柔道着みたいな厚手の生地だが、藍をたっぷりと含んでおりその肌触りもまた優しげだ。「高砂」を謡い、お抹茶を飲み、お墓参りにいく。「お正月は何か新しいものを身に纏う。」その気持ちだけが先行しつつ、ゆっくりと一日が過ぎていった。