6月以来綿薩摩に袖を通す。3カ月ぶりだが、夏に向かって汗ばむ陽気に着る綿薩摩と、今から冬に向かう前に着る綿薩摩では同じ着物でも違う着物のような気がする。トロンとしてさらりとした素材だが薄物に比べると肉質もある。また袖なし羽織は、着物の長さ(12m)の反物で羽織を作った時に残布が約2m程出る。その残布を2組合わせてつくったものだ。団十郎茶と千歳緑が半身づつとなっている。 熊本に於いて着物の地産地消を目指すために「熊本ゆかりの染織家展」を企画しているが、その発案者(安達絵里子氏)との打ち合わせ中、目を白黒させて「その羽織…?」とお尋ねになった表情が愛らしかった。今日の着物の色が御召茶(ウグイス色)系だから、その上にグリーンと茶のコントラストなら良いと考えた訳だ。歌舞伎役者の様で派手な気もするが、たまには無地の羽織より変化があっていいのかもしれない。