一ヶ月程前、読売新聞熊本営業所の門岡裕介氏より取材を受けた。氏は現在宮崎市転勤、まさに置き土産だ。お客様や知人からの電話でこの事を記事を知った。感謝を胸に、薄墨色の備長炭入りの綿麻の着物に、この時期重宝なからし色の夏帯をきゅっと結び、今日もまた店頭に立った。 ~テーマ:旬の人~ 『着物でイベント 良さ伝える』 読売新聞・2010年年5月20日朝刊25面「月に一度は着物を着よう」を合言葉に5月、「NPO法人きもの普及協会」を設立。代表理事として着物の良さを伝える活動に取り組んでいる。
菊池市で1916年に創業した呉服店の3代目。菊池市のほか、熊本市中心部にも店舗を構える。証券会社に勤めた後、2年ほど京都の呉服店で修業し、実家を手伝い始めた。家業を継ぐことに疑問を感じていたため、「どこか真剣さが足りなかった」という。
「このまま現実から逃げていてはいけない」。そう思ったのは32歳の時。着物と真剣に向き合うため、大好きだった洋服をすべて処分し、「一生着物しか着ない」と宣言。以来20年間近く、実行している。
当初は、着物姿が目立つことが気になったが、次第に慣れ、気が引き締まり精神的に落ち着いていくのが分かった。自分の体験を通して、着やすい着物を客に勧めることもでき、接客面でも成果があった。 きもの普及協会では月1回、着物を着てピアノコンサートを鑑賞するなどのイベントを開いている。8月22日には「着物の魅力とその課題」について話し合う集会を開いた。当初35人だった会員数は、3か月で93人になった。
「着物が良いと思いながら、きっかけがなく、踏み出せない人が多い。気軽に参加してもらい、その良さを実感してほしい」(熊本市城東町)