裏千家・表千家・肥後古流という熊本の三大流派を超え、「お茶を楽しみたい」というお客様からのお誘いを受け、柿渋染の着物を着、夏のお召袴を履き、紗の漆黒の羽織を着て徒歩3分のアークホテルの茶室へと向かった。男性だからだろうか、亭主という立場が出来上がっている。裏千家流の「続き薄茶」のお手前を見聞きしながらさせてもらった。亭主として蹲に水を張り、お迎えさせて頂く緊張感は格別なもので、また喜びでもある。 しかしながら、夏と秋が行き交う今の季節、茶花に困る。命を受けたので、「吾亦紅・藤袴・女郎花・秋海棠・数珠珊瑚」を裏庭から、そして金峰山の裾野より「ススキ・赤の水引草」を調達することができた。籠に7種入れただ飾るだけだが、夏頑張った花が今実りをもたらし、お互いがお互いを生かし合うという相乗効果を生みだしていることに、胸が熱くなった。