和の國ブログをご覧の皆さま、こんにちは。
「熊本ゆかりの染織作家展」実行委員の安達絵里子です。
2カ月に1度の「熊本ゆかり便り」です。

9月に入り、はや秋の長雨を見上げる今日この頃です。
今年は早めに麻をしまうようになるのでしょうか。

さて、今回の「熊本ゆかり便り」は、この秋に熊本ゆかりの染織作家の方たちの作品を見られる展覧を三つご紹介したいと思います。

まずはこちら。

「堀絹子 染織45年展
 真弓工房 手織教室染織展」
平成27年10月27日(火)~11月1日(日)
熊本県伝統工芸館(1階展示室)

熊本を代表する染織作家・堀絹子さんが、この道に入られて45年。
国展などに出品され作家活動を行う一方で、手織教室を開いて後進の指導もされている堀さんの集大成となる展覧です。

経絣や浮き織などを併用し、能装束に見られる格調高い織物の系譜を受け継ぎつつ、現代の新感覚の織物を創作され続ける堀さん。
手間暇を惜しまず織り上げた作品には、おのずと気品漂うようなオーラが感じられます。

写真は堀さんの真弓工房内に並ぶ織機です。
腰掛に巻かれたギャッベのような毛足の長い織物も真弓工房製で、入室したらまずこれを織るのだそうです。
羊毛から木綿、絹織物まで極められた堀先生のお教室ならではの光景。
ちなみに「真弓」とは堀先生の旧姓だそうです。


こちらは堀さんが第3回熊本ゆかりの染織作家展に出品されたきものの部分アップです。
経絣に白の緯絣、そして地の平織から緯糸を浮かせて立体的に見せる浮き織など、確かな技術力に裏打ちされた堀さんならではの織り味です。
地の紫色はコチニールという動物性天然染料で糸染めされたもの。
恐れ多いことに、私がお誂えで堀さんにお頼みし、染織していただいたきものです。

「いつかは堀先生のきものを」と憧れていましたが、第2回熊本ゆかりの染織作家展で堀さんに記念講演をしていただいたとき、そのお人柄と作品世界の素晴らしさに心底感動し、和の國を通じて作品制作をお願いしたのでした。

私自身の堀作品に対する憧れ、堀さんの作品に対する真摯な思い、それを國さんがみごとにつないでくださり、的確なアドバイスの下、このきものが誕生しました。

詳細は後日に譲りたいと思いますが、「堀先生が染織人生をかけて打ち込んだ証といえる作品だから」という國さんのご助言を受けて、私はこのきものに「あかしの君」と名前を付けました。

『源氏物語』で紫が似合う「明石の君」と、堀さんの染織人生の「証」をひっかけたネーミングです。
私はこの宝物のきものを着て記念展覧会を見に行こうと思います。

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さて、次は「進化する織りのアーティスト」吉田美保子さんの個展「三角・吉田」です。
(クリックしてくださると、吉田さんのブログ内にある個展案内を見られます)

「三角・吉田」
平成27年10月29日(木)~11月1日(日)
会場/東京・南青山「イトノサキ」

吉田さんが長年取り組まれている摺り込み絣の手法で、三角形をデザインに生かした帯たちが主役です。
この帯を締めたモデル写真がブログ内に掲載されていますが、これは吉田さん自らお召しになっているごようす。
なんとも楽しそうですね。

東京での開催ですが、会期中は吉田さんがずっと会場にいらっしゃるそうなので、お会いできるチャンスです!
「この秋は東京へ」とお考えの方は、ぜひ吉田さんの個展にもいらしてくださいませ。

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そして次は、型絵染の溝口あけみさんです。
先日の朝日新聞で、第62回日本伝統工芸展(本展)の入選者が発表されましたが、今年も溝口さんのお名前がありました!

「初夏」と名付けられた型絵染きもので、溝口さんによれば初夏に福岡を往復するとき、高速道路から見える合歓の木をいつも楽しみにされていて、それをデザイン化したものだとか。
私も未見です。
早く見たい!と思われた方は、ぜひ東京へ。

「第62回日本伝統工芸展」(東京)
平成27年9月16日(水)~28日(月)
会場/東京・日本橋三越本店

その後、名古屋、京都、大阪、金沢、岡山、松江、高松、仙台で展覧された後、こちら熊本からは最も近い福岡で巡回展があります。

「第62回日本伝統工芸展」(福岡)
平成28年2月2日(火)~7日(日)
会場/福岡三越

また、新作でなくても、和の國には熊本ゆかりの染織作家の作品をお預かりしているものもありますので、ご希望の場合は和の國までご連絡くださいませ。

熊本ゆかりパワーあふれるきものや帯で、街を闊歩いたしましょう!

今回もどうもありがとうございました。
次回は11月3日頃、お便りいたします。

「熊本ゆかりの染織作家展」実行委員 安達絵里子