気持ちも新たに、綿麻の銀ネズ色の小格子に袖を通し、消炭色の袖なし羽織を羽織って出かけた。木綿の着物よりまた一段と薄手で、かつ麻が30%入っているのでシャリ感もあり皮膚への密着度も少ない。お昼から「今日は蒸し暑いですね~」の声にも、右手をグーのポーズをとり、ニッコリほほ笑み返す。 角帯は、足立紀美子作・つるばみ色・もじり織の角帯だ。素材が絹・麻・紙布と使って織っているので、人差し指を帯に充て、しばしその違いを感じとる努力をすると、思考回路が指先まで伝わったような気がする。 「四十八茶百鼠(しじゅうはっちゃひゃくねずみ)」とは、よく言ったのものだ。着物、袖なし羽織、角帯という鼠色の濃淡の取り合わせに白足袋を履き、文月を祝った。