昨晩はお仕舞後、綺羅星のきものに着替え「日本産業館」で見学した後、「四川料理」に舌づつみを打った。 しかしながら、その間どうしても気になる事があった。それは、日本産業館での45分間に端を発した。最新の技術だとか、テクノロジーだとかというのは素晴らしいことだ。テーマは「日本の創るよい暮らし」とある。 私には、本当の日本が語られているか、また未来の日本が進むべき道なのか、疑問が募った。経済発展は素晴らしい。大事なことだ。しかし、先人の教えを守り、今に生かす事。つまり「不易流行」の教えが本来の日本人の中にある価値観だったのではないだろうか。先人の知恵、着物を着ていた日本人がいたから、そこに産業も生まれ文化も発展し、現代の超一流企業を生み出した。また、親祖先を大事にする心により、親子の絆も生まれ、文化も継承できた。やはり、万博などでは、何処にも真似が出来ないような日本独自の特色を出し、日本人が日本人として誇れるような環境作りを願ってやまない。 しかしながら、文化人や経済人とも言われる日本人が口先だけでしか理解していないのは悲しい現状だ。その理由は明白。 自らが、着物も着ない。能楽や茶道などの日本文化に触れていないからだ。 日本の万博会場でも、日本館のスタッフは浴衣を着ればよかろうに西洋かぶれした装いでは、中国人か日本人かの区別も出来ず、そんな中途半端な装いをしていても、外国人から尊敬どころが軽蔑されているのが現状だ。誰か誰か、着物の良さ、着物を着る事が最高の日本人としての誇りだと言ってくれる人はいないものか…。万博などがそのPRの最高の舞台なのに!…などど、そんなことを思っていると体がどんどん熱くなっていた。 アドレナリンが出まくった朝を迎え、小雨の中、小千谷ちぢみ(紺地・縞)に金茶の羅の帯で上海市内観光をした。夕刻、上海雑技団を見た。十数年、幼少より、どれだけ日々研鑽を重ねた結果だろう。その姿を見ているうちに2度鼻がツンといった。昨晩からの思いを、一層強くしてくれた観劇となった。