朝から秋雨。出番を待っていたかの如く、木綿の着物(綿薩摩・小格子)の登場となる。晴れた日に着る木綿と雨の日に着る木綿では、同じ着物でも使用目的が違ってくるから面白いものだ。傘をささずに外に出てみた。綿薩摩にドット模様が浮かび上がってくる。その模様も、まさに小宇宙だ。5分程すると、その文様も跡形もなく消えていく。よくぞ先人は、日本の風土に合った「木綿」を栽培し衣服とし、今日まで連綿と守り続けてきてくれたものだ。熊本国際民芸館初代館長・外村吉之助の「木綿往生」という言葉が心に染みてくる。