気合が入る朝だ。墨色のお召(背一つ紋)に紋無双の袴(さび鼠色)を締め、結城紬のマフラーの上に縮結城紬を羽織り、そしてトンビを羽織って、初釜に出かけた。お茶席では羽織も脱ぐのが常識だ。身を切るような寒さだが、丹田にギュッと気合を入れてお茶室へと向かった。床のお軸は画讃。「一富士二鷹三茄子」。すーっと心に沁みわたってくる。今年初めて頂くお濃茶は常盤色で、飲むのがもったいないほどだ。一度店に入り、懸案事項を小脇に抱え、熊本ホテルキャッスルで、そのお茶の新年会に出かけた。有難いことに、そこで、「高砂」のキリを、一くさり謡わせて頂いた。 店に戻ると、岩戸神楽の久保田さんもお出掛けになる。もし、その衣装を和の國でお世話することにでもなれば、お求めいただくけども、奉納しているような気持ちになる。NPO法人きもの普及協会では、「月に一度着物を着ましょう」と提唱しているが、その行事の一環として「岩戸神楽ツアー」が浮かんだ。まだ、9月上旬は暑い。そんな中、阿蘇の初秋に触れながら神楽を楽しむ一日が実現するかもしれない。手帳には9月4日(日)・NPO法人きもの普及協会・岩戸神楽バスツアーと書き込んだ。 また、NPO法人きもの普及協会メンバーが来られ、「國さん、てんぱってませんか。」とのご指摘を受けた。「えっ」と思いつつも、自分では目の前の仕事を頑張っているつもりだが、それをこなしていくだけで精一杯だったのかもしれない。「全体を俯瞰(ふかん)すること」や「ゆとり」は、本当になかったようだ。「だから、お正月は何もしたくなくなったのか~」「あ~、ブログで新年のあいさつも書いてなかったよな~」などと回帰することが出来た。僕の至らなさを皆が教えてくれる。本当に有難い。 さあ、今からだ。ここから、どうするかだ。