和の國ブログをご覧の皆さま、こんにちは。
「熊本ゆかりの染織作家展」実行委員の安達絵里子です。
今年から2カ月に1度のアップとなりました「熊本ゆかり便り」です。

梅雨の真っただ中、いくら万物を育てる雨とはいえ、もう少し遠慮した降り方でもいいのではないかと、天の神様につっこみを入れたくなるこの頃です。
きものの世界では、ひとえの時期から薄物の盛夏に入り、確実に季節は移り変わっています。

「暑いから麻」はもちろんのこと「雨だから麻」とばかり、私の最近の普段着は水に強いどころか水を好む麻に手を通しています。
そんな私の現在の愛用帯はこれ!



「ああ、あれね!」と思われた方も多いことでしょう。
そうです。
今年のお正月に行われた「第5回熊本ゆかりの染織作家展」出品作、岡村美和さんの麻地型染帯「紫陽花文」です。

会期中も人気が高かった帯で、ちょうどおしゃれな夏帯が欲しかった私がお頒けいただいたのです。
この写真は7月2日、和の國で撮影していただきました。
写真技術が高いのか、カメラがいいのか、いいえきっとハートがよろしいからでしょうね、和の國で撮っていただくと、いつも私が「いい人」みたいに見えるので、今回もお店におじゃまして撮影をお願いした次第です。うふふ。

きものはお手頃価格なラミー麻の小千谷縮。
脱いだ後に霧吹きをかけておくだけで、次にスッキリと着られるし、また気軽に自分で手洗いもできるので、熊本の夏にぴったりです。

さて、このグレーの小千谷縮は細い縞が通っています。
しとしと降る雨をイメージした取り合わせですが、無地感覚のきもので帯を主役にしたコーデイネイトです。
「紫陽花文」帯は、今年入手したにも関わらず、この日で何回目だったか、この季節にたくさん味わいたいと何度も締めています。

初めて締めたのは5月20日頃。
作者の岡村美和さんと、ある染織作家をお訪ねしたときです。
あたたかな日でしたので少しフライングをして、ひとえの結城紬に合わせました。
小物は……と考えたとき、ピンとひらめきました。

これです。いかがです?
ぴったりだと思いませんか?
私はうれしさにゾクゾクして帯枕に掛けました。

この帯あげ、どこかでみたことがあるでしょう?
これこそ昨年の「第4回熊本ゆかりの染織作家展」で私が求めた帯あげで、黒木千穂子さんが五家荘のクサギで染めたものです。

今までに私が持っていない色目だったので、喜び勇んでいただいたのですが、少しばかりの個性があって、なかなかドンピシャリのコーディネイトをする機会がないまま現在に至っていました。
しかし待った甲斐があったというものです。
帯柄と帯あげの色が呼応して引き立て合っています。

「好きなものを買っておくと、そのときは合わせるものがなくても、いつか相思相愛ともいえるコーディネイトができる日が来るのだなあ」と改めて思ったことでした。

しかし、帯地は麻で、帯あげは縮緬。
私は6月に入ったら小物を夏物にしていくので、
この帯と帯あげの取り合わせは5月限定です。

うれしいことか、残念なことか、その両方の気持ちがありますが、
いちばんしっくりする言葉で表現すると「いとおしい」です。

期間が短いマリアージュ。
まるで年に一度だけしか会えない織姫と彦星のようではありませんか。
障害があるからこそ燃え上がる恋のように、この取り合わせを季節の楽しみとしたいと思っています。

熊本ゆかりの染織作家が制作した作品……それだけで装いに物語性が生まれ、また出会う人との話題になります。
そして熊本の地に立って歩く私の身を守ってくれるようにも思う、熊本ゆかり作品でもあります。

熊本ゆかりの染織作家さんの近況をお伝えしましょう。
堀絹子さんと、岡村美和さんは、先日まで熊本県伝統工芸館で行われていた「九州・沖縄の民藝展」に作品を出品されていました。
熊本国際民藝館の初代館長でいらっしゃった故・外村吉之介の思い出を語る展示には堀さんと岡村さんのコメントもあり、偉大な方であったのだなあと認識を深めました。

溝口あけみさんは、西部工芸展に今年も入選し、先月鶴屋で行われた展覧では解説もなさいました。
その会場には、友禅染の島﨑澄子さんもお越しになって、久しぶりの再会を喜んだところです。

黒木千穂子さんは五家荘で染織をされ、吉田美保子さんは神奈川県でONLYONLYという誂え注文の制作をされています。
吉田さんの近況は彼女のブログhttp://someoriyoshida.com/blog/で拝見し、「いつも頑張っていらっしゃるなあ」と思い、私も頑張らなくちゃと前に押される気持ちになります。

熊本ゆかりの染織作家の作品のお問い合わせは、和の國まで。
お気軽にどうぞ!

今月も長のおしゃべりにお付き合いくださり、ありがとうございました。
次は9月にレポートします。

「熊本ゆかりの染織作家展」実行委員 安達絵里子