71ec15fc.jpg和の國ファミリーのみなさま、こんにちは。
暮は31日まで仕事、そしてお正月は2日からお店に入っています。
いつ間にか、本当に仕事が大好きになり「仕事命」と自信をもって言うことが出来ます。

そのように、「頑張ろう!」と2日からお店を開けていると、たおやかなお着物姿に身を包まれたみぎわさまがお出かけになり、「オールマイティに羽織れる道行コートを」というご縁を結んで頂き、「2010年初商い」を演出して頂きました。

当ビルの両隣(お花やさん・ブテック)もお休みなので、チョッと一抹の不安があったのですが、可愛らしいチョコのお年賀も頂きつつ、愛情いっぱいに慈愛の気持ちとともにご用命いただくなんて、こんなに嬉しいことはありません。
縁結びの女神さま、本当にありがとうございます。

今からご主人先生とお二人のお嬢様と合流され、皆さまお着物姿で、御母堂様に新年のご挨拶をなさるそうです。
「母に作ってもらったから、母も喜ぶのでは」とおっしゃった表情には、日本人のお母様としての愛情がいっぱい詰まっているように感じました。

さて、そのように新年早々ご縁を頂いたのですが、もしかしたら、小生の所信表明をお読みいただき、早速のアクションをしていただいたのかもしれません。
そうだったら嬉しいのですが、改めて、和の國ブログを通してご挨拶をさせて下さい。

新春あけましておめでとうございます。
今年は、あなた様にとって、和の國にとって、そしてきもの業界にとっても最高の一年となりますよう心よりお祈り申し上げます。
新年にあたり、私の思いをお話させて頂きますので、ご笑読頂ければ幸いに存じます。

私の昨年を一言で表すと「動」でした。そして今年は「成果」を目標に動きます。
昨年は本当によく動きました。なぜかと申しますと、「呉服業」という不況業種でありながらも、右肩上がりで実績を重ねてきた和の國が、リーマンショックの影響を受け、ついに売上が激減したからです。
一時は、波風が治まるまで…と、「静」を決めていましたが、このまま動かなかったらどれだけ借入しても資金ショートが予測され、「いつになったら業績回復?」という目途さえ立ちません。
ましてや日本の染織業界を救うことさえ、皆無になります。 

そこで、まず動いたのが一昨年より手がけていた「ドバイビジネス」です。
誰から言われた訳でもないのですが、「日本のきもの継承の為、今動かなければ!日本は亡くなる」という強い使命感のもと頑張りましたが、ドバイの現状と中東ビジネスの怖さを知り、春には一度終止符を打ちました。

海外に目を向けている中で、むらむらと沸いてきた気持ちが「よし、本を出そう!!」です。
「本を出して、私のきものにかける思いを読んで頂き、共感いただいたら、絶対お着物をお求め頂ける!」という、ただその一念で、血眼になって書き上げたのが、「きもの宣言」(7/7出版)という本です。
慣れないことで微熱が続き、のどちんこを手で引っ張り出してつぶしたりしながらも、お客様や知人もこのプロジェクトにかかわって頂いたことで、やっとの思いで書き上げることができました。

おかげ様で熊本県下の本屋さんに並び、アマゾンでも取り扱い頂くようになって、実際に地元の熊本の皆さまを始め、全国各地からの称賛の声もあり、本からの御縁もたくさん頂きました。心より感謝申し上げます。
しかしながら、この逆境の風を吹き戻すことまでは至りませんでした。

そうこうしている内に、夏の暑いさなか「ジェトロ戦略商品試験販売・モニタリング調査事業ドバイ」の話があり、念願の「ジャパニーズ・アバヤ」を作成し、準備を進めていると、ドバイの会社よりオファーが舞い込み、またNHKドバイ放送局の方から「ぜひ現地で今の取り組みを、そして日本(和の國)での取材をさせてほしい」という話がありました。

そしてドバイから帰るとすぐ、「BS1経済最前線」(11/11)を皮切りに、「NHK全国放送」(11/12)・「熊本日日新聞」(11/12)・「RKKニュース」(11/18)でも取り上げて頂きました。
感謝してもしきれないほどの有難い出来事でしたが、
全国各地から感嘆の声を聞く間もなく、「ドバイショック」が、全世界を駆け巡りました。

一転、お客様は口を揃えて「大丈夫???」です。確かに出店依頼があり、その方向で進んでいたのは事実ですが、あまりにも「出店依頼」が強かったので、「それよりもまずは輸出から始めることが大切だ」と、慎重になっていた矢先でしたので、リスク回避も出来ました。
マスコミに取り上げられたおかげで、またいろんなご縁を頂く形となりました。
 

また、私は「茶道・能楽・英語」を学んでいますが、新たに昨年は「ことばの学校」という学びを始めました。
最初は「ことば」を学びにいったつもりでしたが、コミュケーションスキルを学ぶという勉強の場で、チョッと違う場所に来たようで、止めるタイミングを計っていたのですが、いつのまにか、そこが大切な学びの場であることに気づきました。

講師の黒川裕一先生は「やっと國さんのやっている事に対して、言葉がついてきましたね」と言われましたが、「いかに分かりやすく伝えるか。いかに理解してもらう文章を書くか。」ということは、まさに今始まったばかりです。
そのように、いろんな動きをしたことで、仕事とプレイべートの境がなくなり、自ずと「休日」がなくなってきましたが、一心不乱に動いた一年でした。

おかげさまでたくさん動いたことで、様々な方々に出会い、多くの学びをさせて頂きましたが、生業の「きもの屋」として、昨年の「動」の動きから、本年自分で出したいもの、いや出さなければならないものがあります。
それはやはり「成果」です。
どれだけ頑張っても成果が表れなかったら、我々はやっていけません。
もちろんやる気もなくなりますが、食べてもいけないし、全てが上手く回らなくなります。

今、国が緊急融資など有難い法案をつくってもらっていますが、やはり無借金経営を目指さなければ、本当の意味で経営者とは言えません。
そこで今年は、「成果が出せる一年」にすることを私の最大の目標とし、目の前の行事を一つずつ大切にしていきます。
和の國はご存知「和服専門店」ですが、「みんなの『和』」を大切にしながら、「きものを着る機会の提案」もさせて頂いています。

間近に迫っているのが、1月24日(日)の「ニューイヤーコンサート」(別紙)です。こちらは「満員の観客のもと、熊本の第一線で活躍する方々に歌って頂き、主客一体となり共に感動しよう。」という主旨ですが、私の目標は「満席になる努力を、生命をかけてやる」ということです。
音楽も美しい文化です。数年後、このように拍手喝采のコンサートが当たり前になり、日本のコンサートが、拍手喝采に満ちあふれることになることだって可能です。

そして数年後は、オシャレをしたり、きものを着てコンサートに行くことが、「お洒落な一日の過ごし方」の一つになれば最高です。
でもまずは、満席になることからです。その一歩を一緒に踏み出して頂けませんか。どんな事でも結構です。ぜひ皆さまの手で成功(満席)へと導いて下さい。そこから…、全てが始まります。

熊本の文化発展の為、和の國の近くに「コンサートホール」と「能舞台」が一体化し、映画の上映なども出来る「和の國ホール(仮称)」(安藤忠雄氏設計)を創り、いつの日かそこが「文化発信の場」となるという「初夢」が、10年後に実現することをも夢見ています。

それから3月3日は、ご存知「ひなまつり」ですが、和の國でも恒例の「第5回おひな様パーティ」を開催させて頂きます。(今年より毎年3月3日に決めました)今年は水曜日となりますが、会場はお馴染み「KKRホテル熊本・一階ロータスガーデン」です。  

その折には、声楽家の志岐由理子先生をゲストに招き、一緒に歌い、日頃の家事を忘れ「一年に一度のおひな様気分」を味わって頂く予定にしています。
この「おひな様の宴」は、お仕事後駆けつけて頂く方以外は、ぜひお着物姿でお出かけ下さいねっ。もちろん、男性も大歓迎で、美しくお召しになった姫君をしっかり「美しい!!」と言葉で愛でて下さい。

また、染織に強くなる…「和の國大学院」や、NPO法人きものを着る習慣をつくる協議会・熊本支部(和の國)主催の「きものde探検隊」はもとより、「和の國ワインパーティ」・「和の國カラオケ大会」などの楽しい企画も考えています。
 家内は、「一人でも多くの方が、きものを着てお出かけすることで、また違った楽しさが見つかる」との思いで、今年は「前結び教室を頑張る!」と張り切っています。また、スタッフも「学びながら楽しく仕事が出来るのが有難い」と言ってくれています。

このように列記していくと、やはり和の國は、「みんなで楽しく、みんなで歩んでいくのが大好きなのだな~」と改めて思います。
ぜひ、あなた様もその「『和』の中心人物の一人」としてご参加・ご協力いただけませんか。

それから数日前、サウナに入って考えごとをしている時、ふとテレビから飛び込んできたのは「九州電力」のCMです。それは「王貞治監督が登場し「ただいま~」「おかえり~」のやり取りがある…暖かいコマーシャルでした。 
ほんの一瞬の出来事でしたが、その言葉がやけに耳に残り、今日本人がもっとも大切にしたい言葉は「お帰りなさい」という言葉ではないだろうかと、ふと思いました。
そこで「言われて嬉しい言葉は?」と100個程書き出してみました。

そうすると「ありがとう」「嬉しい」「楽しい」「たのむよ」「頑張ってるね」から始まり…、一度ペンが止まった後に、やはり「お帰りなさい」という言葉が出てきました。
色々と考えるうちに「お帰りなさい」と言えることは「貴方を待っていましたよ~」というねぎらいの言葉で、「ただいま~」と言うのも「今帰ったよ~ありがとう」というお互いを尊敬しあう意思表示だと思います。まさに「一を言って十を知る」という「究極の日本人の精神」であるという結論に至りました。

そこで私は、その和の國を一つの家族と考え「和の精神」を呼び戻し、心が通い合うためにも、お顔見知りになったお客様へは「お帰りなさい」の言葉でお出迎えし、お見送りする時は「いってらっしゃい」と言うことに決めました。
また、あなた様も「ただいま~」から始まり、「いってきます」と心の中で言って頂けたらとっても嬉しいです。今年は、こういった「日本人の心」をも蘇らせるようなことも、一つずつ始めてまいります。

今、「コンクリートから人へ」というキャッチフレーズがもてはやされていますが、ずばり「80年前の日本人の生活様式や、考え方に戻ること」を言っているような気がします。
言いかえれば「『日本の心』を取り戻そう」という機運になってきているのでしょう。
昭和のレトロ人気や、自然や親先祖を大切にする心がクローズアップされているのは、その良き例だと思います。みんな何となく、昔の良き時代の日本へ帰りたがっているのですよね。  

私の幼少の頃には、砂場で「キンキンだんご」を作って遊んだり、「竹馬」を作ったり、暗くなるまで「缶けり」や「鬼ごっこ」をして遊んでいました。
本当に懐かしい思い出です。それが良い経験となっているからでしょうか、やっぱり大自然や人が大好きです。
また、いろんな物を頂いたら、神様にお供えすることはもとより、ご近所に「お裾分け」をしたり、お饅頭などでも、昔は「はんぶんこ」して「美味しいねっ」て言いながら、分け合って食べていましたよね。

朝起きてからもそうです。
小鳥のさえずりのように、どこからともなく「おはようございます」の声が聞こえ、爽やかな朝を迎え、食事前に神様や仏様に手を合わせるのが日課でした。
そのように昔は、ご先祖様、親兄弟やご近所にも感謝し、みんな仲良く、お互いを認め尊敬しあい、思いやりがいっぱいありましたよね。

それこそが本来、日本人の歩んできた生き方であり、そういったものが「日本人の心」とも言うべきものではないでしょうか。
もう一度「日本人の心」を取り戻すには、「80年前の日本人の生活様式や、考え方に戻ること」ですが、一足飛びには出来ません。

その中で今出来ることは、「和」・「和文化」をしっかりと意識することです。
その思いを形にする為には、共に「自分に出来ること」をしっかりやるだけで、「日本文化」を蘇生することが出来てくると私は信じています。
私は、きもの屋の三代目として生を受け、この仕事がいつのまにか「天職」と言えるようになり、「日本文化」を蘇生するために、「昭和初期の古き良き時代」を取り戻す為にも、私はきものの普及に命をかけて取り組みます。

自らが、きものを着続けたことによってもたらされた効用を、呪文の如く唱え、普及活動に邁進してまいります。日本人が日本人の良さに気づくため、一番効果があるのは、「きもの姿」だと信じています。

私は「きものを着るという行為」、つまり形から入っただけですが、これ程までに、きものが好きになり、人が好きになり、そして日本が好きになり、ふつふつと使命感が湧いてくるとは思ってもいませんでした。
ましてや、日本文化の要である「きもの」を守り継承させていくことが、私に与えられた「宿命・天命」と感じるようになるとは、まったく予想できませんでした。
我ながら自分自身の変化に驚くこともあります。

しかしながら、その精神性がやっと身についたものの、この社会環境です。でもその中で私は成果をださなければなりません。
和の國の存続ももちろんのことですが、染織家・メーカー・小売屋・そしてお客様と一つの絆で結ばれなければ、将来的に「本物のきもの」も存在しません。
お客様がお求めにならないと、結局作り手の手が止まってしまいます。

斜陽産業と言われてリストラも進み、スリム化もしていますが、もうきもの業界も耐えることに限界がきています。
今お求め頂いて、作り手に仕事をお願いしないと、本当に手仕事のきものは姿を消します。それは、もうドミノ倒しのように始まっています。
今からは本物の時代です。「日本の心」に気づき、景気がよくなれば、必ず着る人は増えるでしょう。

しかしその時は、創り手はいなくなり、本物のきものは生産できなくなります。
ロウソクの灯りが消える寸前です。
どうか、この現状をお含み取り頂き、財布のひもを緩め、消費は美徳、日本のきものを救うという大志のもと、ご縁を作って頂けたらと切に願っています。
今、日本の染織品を買い支えるという使命感をもってどうかお付き合いいただけませんか。
 和の國には、滅びゆく日本文化を支え、その文化の良さ・素晴らしさを、きっちりとお伝えすることが出来ます。

景気は必ず良くなります。
なぜならば、私も本気で「きものの継承」の為取り組むと共に、あなた様のように今賢い日本人が増え、文化を残すことが大切だと気づき、文化を継承させることで、そこに需要と消費が生まれ、日本全体が活気づくことを知り、熊本から「動」が始まっていくからです。
ゆえに、手と手を取り合って皆で一歩を踏み出すことで、まず、気持ちも明るくなり、景気もよくなり、日本の未来は輝きを取り戻していくのです。

実は、急激な消費の冷え込みがあり、「お店をやめようか」とも正直思いました。頑張っているのに成果が上がらず、寝むれない日々が続きました。京都からは、「元気印・業界のパイオニアであり救世主である」と思われているので余計辛かったです。悩みに悩みました。

しかし、この私を駆り立てたものは…、
・「きものを今、誰が残そうと本気でやっているか? 俺より熱意のあるものは、日本にいるか?」
・「もし和の國がそれをやらなかったら、きものは滅ぶ」
・「そうなると、うわべだけの文化しか残らない」
・「千年続いた文化を今我々の代で無くしたら、ご先祖様に一生合わせる顔が無い」
…という思いでした。

ドバイビジネスも、まだ成果は出ていません。
売上も激減です。
しかし、私には夢と希望があります。
熊本を元気にする為、文化の街にする為、そしてきもの文化を継承するため、命をかけて頑張らなければなりません。私の命と差し替えに「きもの文化を継承」する覚悟です。それが私に出来る唯一無二の行為だからです。

自分でも、最も欲しいのが日々の成果です。
京都の仕入先さんも最短で成果が欲しいのは山々です。
私の今年の目標は、成果です。その成果作りを一緒に育んでいただけませんか。
ご当地熊本から、日本人の美意識と共に、日本をより良い日本へ変えていきましょう。

熊本から世界へ、「人の『和』」・「文化の『和』」、そして「きものの『和』」、を広げていきましょう。
光輝く未来を信じながら…。

最後までお付き合いいただきまして、本当にありがとうございました。 
今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。    
感謝・合掌
染織工芸サロン和の國 代表 茨木國夫

追伸:
長文にお付き合い頂き、ありがとうございます。
今日出社中に、NHKTVで一般参賀が放映されていましたが、「なぜ日本人なのに、きものをお召しにならないのかな? 敗戦前は1000年も連綿ときものを着続けてきたのに、なぜ?」
…と、正直に思いました。

しかしながら、「自灯明」しかありません。
きものを着ることで、心豊かな日本となることを夢見て…。
夢は叶うのも、実現するものです。